聲の形の感想

原作がコミックス7巻分の内容を2時間にまとめるのは無茶だったのか、Vアニメの総集編のような端折り方で話に全くついてきませんでした。原作ではアニメで説明されていない部分に対して納得がいくような説明がされてるかもしれまんが、そもそも読む気にならないので疑問になった点を確認する気も起きません。

 

前半は小学生時代で主人公とクラスメイトが聴覚障碍者のヒロインに危害を加え、ヒロインが不登校から転校したのでクラスメイトから主人公に全責任を被せられて「障害者を虐めた酷いやつ」として今度は主人公がクラスメイトから虐められる流れでした。それから中盤は主人公が高校生になり、小学校~中学校に虐められたトラウマから対人恐怖症で友達がいない状態から都合よく男友達が出来たり、聴覚障碍者のヒロインをはじめとして他の女キャラの尻を追いかけまわして何故か行為を持たれ全員で仲良く遊びに行くような話になって面食らいます。そして終盤は何もかも順風満帆に見える主人公でしたがヒロインに何故か希死念慮があり、自宅のマンションから飛び降り自殺をしようとしたので主人公がヒロインを助けようとしたが代わりに自分がマンションから転落してしまい、それから入院して何となくヒロインといい雰囲気になって時間が過ぎ主人公の通ってる文化祭で主人公の対人恐怖症が治ったかのような感じで終わりました。ここまで端折ってストーリーを書きましたが、何がテーマで何が言いたい話なのか理解できないとしか言いようがありません。

 

聴覚障碍者のヒロインが健常者の学校に通っても馴染めず転校してしまった・・・という前半でもう聴覚障碍者を描く事を投げているように感じました。中盤から主人公の対人恐怖症がメインになっていくので、聴覚障碍者のヒロインがどうやって過ごして来たのか全く語られません。ここまでくるとヒロインが聴覚障碍者じゃなくても成立するんじゃないかと思いました。虐められた理由が「ヒロインの地毛が赤毛だからクラスメイトに因縁を付けられた」でも何の違和感もないからです。ヒロインは主人公から補聴器を無理やり外されて投げ捨てられるという暴力行為を受けたのに、何となく主人公を好きになっていくのは理解できませんが、ヒロインが通う学校に友達の存在が出てきてないので無理にこじつけるとすれば、ヒロインは孤独だから昔に危害を加えてきた主人公が構ってくれるから好意を抱くというDV的なものでしょうか。

 

主人公の対人恐怖症ですが、小学校時のクラスメイトの金髪男が主人公の事を「障害者を虐めた酷いやつだから関わらない方がいい」と小学校~中学校時代に学校の生徒に言いふらして主人公が孤立したという形ですが、主人公が高校生になると主人公に直接危害を加える人物は出てきません。しいて言えば聴覚障碍者のヒロインの母が「うちの娘(姉妹)に近づくな」という意味で主人公をビンタしたぐらいです。なので陰湿な前半の割には主人公の都合のいいように話が進むので肩透かしを食らいました。

 

主人公を妨害する人物がいない以上、主人公とヒロインがなんかいい仲になって終わりという話だと何の面白味もないのか、主人公とヒロインの小学時代の同級生である黒髪ロングが悪女枠として大暴れします。黒髪ロングが主人公の事を好きだったという設定が突然出てきて、ヒロインに嫉妬するので暴言を浴びせたり挙句の果てには暴力を振るったりします。もっと言えば黒髪ロングがヒロインを殴ってる時にヒロインの母親が止めに入った時にその母親も殴るので気が狂っています。小学校時代は主人公がヒロインに暴行を働いていたので「障害者を虐める酷いやつ」でしたが、今度は黒髪ロングが「障害者を虐める酷いやつ」になっています。主人公はヒロインを虐めた事で今度は自分が虐められる原因を作ってしまったという意味で因果応報になっていますが、黒髪ロングは特に作中で罰を受ける事はありません。主人公の母親とヒロインの母親以外、黒髪ロングに注意したり止める人物がいない・・・という時点でこれもまた狂気じみています。主人公はヒロインに対して「小学時代に虐めてしまった」という負い目があるのに、ヒロインが黒髪ロングに暴言を浴びせられても何もしませんでした。反省しているのは口だけだったのか疑問に思いますし、また障害者に対する虐めが繰り返されているようでは何も解決していません。黒髪ロングはヒロイン(と母親)を殴った後で平然と友達面をして文化祭に来るので面の皮が厚いタイプの性格異常者で恐ろしいものを感じますね。

 

というわけで、黒髪ロング自体は話を盛り上げる悪女としての意味合いは分かりますが、何も罰を受けず終わるのは首をかしげました。男女関係のドロドロでお馴染みの東海昼ドラの中島御大の作品だと、ヒロインが悪女に虐められ続けるのは恒例のパタ―ンなのですが、終盤でその悪女が罰を受けるんですよね。目が見えなくなったり、顔が変形したり、警察に捕まったり、挙句の果てには死ぬ場合もあります。悪女で話を盛り上げるだけ盛り上げて、悪女が報いを受ける事で落とす事でバランスを取る感じです。そういった意味では本作はバランス感覚というのが欠けているのではないでしょうか。「原作がそうなんだから仕方ない」と言えばそれまでですが。