アニメ「とある科学の一方通行」が面白かった話

僕自身は「とあるシリーズ」を全く知らない状態なのですが、「とある科学の一方通行」は「ビッグオーダー」の監督がやるという前情報を知ったので見てみました。「ビッグオーダー」の特徴と言えばひたすら前に進むだだけで止まらない高速展開、長くて噛み合わない台詞の掛け合いを早口で回す事で間延びを感じさせないことですが、「とある科学の一方通行」も同じ作風でした。「ビッグオーダー」の場合は主人公のキャラがストレートでイマイチ印象に残らなかったのですが、「とある科学の一方通行」は一方通行のキャラ付けが濃くて台詞回しがより面白い事になっています。

 

本作は全12話で最初の1話が1話完結の後に繋がらない話で後の2~12話が連続した話でノンストップで進んでいく構成になっていました。1話の時点で悪党を救いようのないゲスに描き、最強とも言える能力を持つ一方通行が相手の言い分と攻撃を全部受けとめた上で口論でも戦いでも全て叩き潰すが悪党の命は取らないという本作の特徴を凝縮されています。ストーリーの流れとしてはDAという犯罪組織が動くが、一方通行が入院している病院で騒ぎを起こしたので一方通行にことごとく妨害され、DAを支援していた科学者がDAにミサカのクローンを研究所まで運ぶことを命じたもののDAが失敗したので自らロボットを操りミサカのクローンからデータを取ろうとしている最中に、一方通行はミサカのクローンを取り返す為にロボットを執拗に追いまわし科学者の研究所を探り合てるが、一方通行がロボットと戦ってる間にミサカのデータが完全にロボットにインプットされて科学者の目的である「科学者の妹を完全な能力者にする」という野望は達成されたかに思えたが、科学者の妹は本当は死んでいて妹に乗り移っていた黒幕が登場し、科学者は自分がDAを利用していたように黒幕に利用されていただけであり、完全体になった黒幕が訳の分からない化物になったことで人類に危機が迫る・・・という展開がノンストップで繰り広げられます。一方通行は病院を抜け出してから何も食べてなくて一睡もせずひたすら戦いっぱなしで、他の登場人物も例外ではありませんん。

 

このノンストップの展開はどこか見覚えがあるな・・・と思ったらアメリカドラマの「24」でした。24は「いつどこで寝たり飯を食ってるんだ?」と言わんばかりのタフさをジャックバウアーが見せつけ、ジャックバウアーがテロリストを追っていたらテロリストを操っている人物がいて、さらにその人物を操っている黒幕がいる・・・と悪党の連鎖を24時間ほとんど休まずに繰り広げるドラマです。「とある科学の一方通行」も一方通行が悪党を追っていたらその悪党を操っている悪党がいるという悪党退治の連鎖を繰り広げていました。一方通行自体は最初から最強ので、どんどん悪党の強さがインフレしていきます。初めは武装した警備員崩れで次は巨大ロボットと能力者、そのまた次はデータを吸収して更に強くなった巨大ロボット、最後は完全体になった黒幕が生物兵器と化して一方通行がどれだけ凄まじい攻撃をしようが無限に再生するというどうしようもなさです。

 

騒動の原因はエステルが科学者と知り合って死体を動かす技術を教えてしまったことですが、一方通行が過去にミサカのクローンを10031体殺してしまった事で黒幕が完全体になるきっかけを作ってしまったので、一方通行がエステルを助けるのはお節介のつもりだったのに最終的に自分でやった事の後始末をすることになって何もかもが黒幕に繋がっていくというシナリオは面白かったですね。

 

本作の悪党はどれも自分より弱い者を甚振って殺して楽しんでいるゲスばかりで薄っぺらさが一貫してますが、一方通行は他人に対する皮肉が多く自分を悪党だと自虐しつつも自分がクローン体を10031体殺してきたというトラウマが強く悪党がどれだけゲスでも命は取らないという姿勢が一貫していて深みがあるキャラクターになっています。悪党である科学者や黒幕にトドメを指したのはエステルであり、一方通行自体は科学者や黒幕に「ぶっ潰す」と殺意をにじませる言動をしているが作中では誰一人殺しておらず、黒幕が消滅した後のエネルギーで街が崩壊しまいそうな時に自分の命を賭してでも街を救うという自分のためではなく他者の為に力を使う自己犠牲の精神が感動できる部分だと思いました。原作が2部に入っているので、空からヒロインが落ちてくるという2部の冒頭を最後に見せるという終わり方でモヤモヤしますが続きは単行本を読んでね!といったやり方は上手いのではないでしょうか。