映画「ペンギン・ハイウェイ」の感想

原作は読んだ事がありませんが、CMを見ておねショタの構図に拘りを感じたので観てきました。表面上は子供を持つ家族向け映画だと思いますが、ここまでお姉さんとそのおっぱいを強調するのは異質だと思います。「男子小学生が夏休みを使って、街に出没したペンギンの大群とお姉さんの謎を追う」のが大雑把な粗筋ですが、街に出る筈もないペンギンに興味を持つのはファンタジー要素の掴みとして分かるにしても、お姉さんに興味を持つのは男性視点で言うと共感できますが、それをテーマにして病的なほどの作画の拘りを見せるとなるとただただ驚くばかりです。

 

声優のキャスティングはメインのアオヤマ君とお姉さんが俳優なので声質が低く周りより浮いているように感じました。アニメ映画で主役を俳優に添えて、他は声優で固めるのが主流ですが今回もそういう傾向になっていました。例えばウチダ君の釘宮氏をアオヤマ君、アオヤマ君の母親役の能登氏をお姉さんにキャスティングされても不思議じゃないですが、過去作のイメージが強すぎるので主役に俳優を選ぶのは新鮮味を出す狙いがあるのかもしれません。

 

主人公の男子小学生であるアオヤマ君はとてもよく出来た子供で、たいへん頭が良く口が達者というキャラ付けをされています。研究熱心で考えた事や思った事はノートにメモして、その上に絵まで描けるという小学生とは思えない程のハイスペックぶりです。原作が小説だから心理描写や台詞量が多くなるので、小学生離れしたキャラ付けをされているのかな?と思ってしまいました。一見すると駄目学生だった自分には感情移入しにくいキャラ付けではありますが、アオヤマ君はお姉さんが好きで自頭の良さをお姉さんの研究に使ってしまうという男の子らしいがどこかズレていて微笑ましい部分で堅苦しいイメージを下げてしまうような一面があります。エロとは観客サービスであり、共感する部分であり、笑いを取るという一言では言い表せないような効果があるので、本作にとってお姉さんのおっぱいとはペンギンと同じように必要不可欠で外せない要素になっています。作中でアオヤマ君がお姉さんやお父さんとコーヒーを飲む機会が何度もあるのですが、ブラックでは苦くて飲めなかったり、テーブルで対面に座っている大人のコーヒーカップに入っているコーヒーの色はブラックなのに、アオヤマ君のコーヒーカップに入っているコーヒーは茶色に濁ってミルクを入れてるのも対照的で子供らしさを表現していました。作中に出てくる喫茶店の内装がダークブラウンで落ち着きがあり、シャンデリアがお洒落を演出してあたかも喫茶店にいるような錯覚を覚え、BGMもピアノ調のもので合わせた感じで良いです。

 

序盤~中盤はアオヤマ君の日常やお姉さんとの触れ合いを描きつつ、街に出没したペンギンの謎を追って友達のウチダ君と街を探索するという構成になっています。ウチダ君はアオヤマ君とは対照的で年相応で子供らしいキャラ付けになっていて、アオヤマ君の突拍子のない発言や行動力に驚きつつも付き合ってあげるという観客目線のキャラ付けでした。アオヤマ君たちはとても広大な街なのに、街中をくまなく歩いて探索し地図を書き上げたり気づいた事をメモしてしましたが、行動力・洞察力・体力的な意味で小学生離れしてただただ驚かされるばかりです。

 

本作のお姉さんはメインキャラクターでありながら謎が多く、劇中でハッキリさせてない部分が沢山あります。アオヤマ君が通っている歯医者で働いているお姉さんというだけでは言い表せない存在で、アオヤマ君の父親が帰ってくるまで喫茶店でアオヤマ君の面倒を見たり、非番の日には一緒に遊んであげたりしていますが、アオヤマ君とのなれそめは劇中で一切描かれていません。父親とお姉さんは知り合いのような雰囲気でしたがそこも触れられないまま終わってしまいました。どういう経歴でなぜこの街に越してきて歯医者で働いているのか・・・というものが説明されないので考える余地が全くありません。中盤からアオヤマ君の同級生である女子のハマモトさんが、お姉さんと入れ替わるように第二のヒロインとして出番が多くなっていきます。ハマモトさんはアオヤマ君とウチダ君のグループと混ざるような形で入ってきて、アオヤマ君に森の奥にある謎の球体を一緒に調査しようと頼んできてストーリーを引っ張っていく形です。ハマモトさんは天才肌のアオヤマ君とは違って努力型で感情性がこのアニメの中で最も豊かです。アオヤマ君は裏表がないがどこか冷めた感じで、どんな時も怒らずクソ真面目に答えたり屁理屈で呆れさせるタイプですが、ハマモトさんはその逆で感受性が豊かで嫌いな相手には露骨な態度を取るというタイプになっています。メインキャラクターであるアオヤマ君とお姉さんがどこか上の空の部分があり周りから浮いているのですが、ハマモトさんはその2人に割って入るような形で食らいついてくるので予想外でとても印象に残るキャラ付けになっていました。劇中でハマモトさんがアオヤマ君の事を好きだと明言はされていませんが、ハマモトさんはアオヤマ君に好意を寄せている態度を露骨に取って、アオヤマ君が好きな恋敵であるお姉さんに対してこれまた露骨に嫌な態度を取ります。2時間おねショタだけだと単調になりますが、男の子が好きな同級生の女の子を出して三角関係を作り出す事によって良い刺激を作り出していると思いました。結局はどれも成立はしませんが・・・

 

映画の終盤になると街がハマモトさんが見つけた謎の球体の影響で壊滅的な被害を受けそうになり、アオヤマ君が謎の球体・お姉さん・ペンギンの関係性を推理してお姉さんと事態の解決に向かうという展開になりますが、ペンギンが大量に出てくる迫力の映像として描かれいるのは分かるんですが「崖の上のポニョ」とか「ビューティフルドリーマー」のような街が可笑しくなっていく演出に既視感がある上にあっさり終わったのでペンギンとおねショタのおっぱいハグしか印象に残りませんでした。

 

前半の展開に伏線が散りばめられていて、後半に同じような現象を繰り返す事でアオヤマ君がそれに気づき仮定を立てていくストーリー作りはとてもよく出来ていました。不思議な現象やお姉さんの謎は全て説明されたわけではなく、ぶん投げたとも取れますが、これ以上説明されるとクドくなるのでいい塩梅かもしれません。いきなり○年後~と飛ばすのではなく、少年のひと夏の思い出として終わるのはとても好みです。おねショタとも取れるしインピオとも取れるし一粒で二度おいしい映画になっているのではないでしょうか。