アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の感想

ヒロインより隣に並んでいる男の子の身長が低い身長差萌えを強調したポスターやPVに惹かれて、この作品に興味が出てきたですが公開時にボロクソにこき下ろされてるレビューを読んだ時に笑ってしまって結局見ませんでした。良くない印象のまま公開から一か月が過ぎたある日、フォロワーからオススメされたのでこれを機会に観る事に。脚本家は湯煙スナイパーで好きな人だったのでそこも注目している部分でした。

 

人を選ぶ作品というのはよく使われる言葉ですが、今作ではポスターの時点でもう人を選んでいるというのが伝わってきます。ヒロインの隣に並んでいる男の子の身長が低く、髪型は男の子らしい短髪ですが目がヒロインと同じぐらい大きく描かれており可愛さを強調されているデザインだからです。基本的にはヒロインより男の身長が高くて目をヒロインより小さく描いて男らしさを強調しヒロインと差別化するものですが、今作はそれを外した男の子像にする事で身長差萌えと男の子の可愛さを全面的に押し出す挑戦的な作品になっています。ヒロインと男の子が同い年の設定なのになぜ男の子の身長を低くするのかという意味は、大人びた行動をしたいヒロインを強く印象付ける為に、あえて男の子を小柄にすることで見た目の説得力を持たせる為だというのが映像から伝わってくるのですが、これを一般ウケするのかと言えば男をカッコよく見せるデザインにした方が無難で難しいだろうなと思いました。

 

恋愛映画としてジャンル分けされている今作ですが、見てみると恋愛要素というのは薄いです。ヒロインであるなずなが母親の再婚をきっかけに他の町に引っ越す事になり、同級生の典道と祐介に水泳の競争で勝った方と駆け落ちしようとするという粗筋ですが、典道の視点で話は進んで行くのでスタッフロール上はなずなが一番上ですが主人公は典道だと言えます。典道はなずなに自分が引っ越す事と駆け落ちしたい事を伝えられついていこうとするが、なずなが母親と再婚相手に見つかって駆け落ちが失敗するたびに「あの時ああしていれば・・・」となずながもっていた謎の玉の力で間違う直前の時間に引き戻されつつ少しでも駆け落ちの時間が伸びていくという形で話がループしながら進んでいきます。なので好き嫌いという恋愛感情よりも、複雑な家庭環境から逃れる為に相手は誰でもいいから駆け落ちしたいなずなと、なずなに一目惚れしているが同級生という以外接点がなくなずなにどぎまぎしつつも振り回される典道というズレた関係になっているように感じました。一番最初の時間軸で祐介が典道に勝った事でなずなが典道に「典道君がよかったな・・・」と好意があるような事を言ってましたが、終盤で無数の平行世界があると明かされた時、なずなは祐介と楽しそうに夏祭りに行ってたので本心はよく分からないです。

 

ヒロインのなずなが大人びて男に対しての本心が読めない女として描かれているのですが、ここは自分としては好意的に受け取りました。典道の視点で進んでいく物語なので、なずなの視点が余計に入ると話がより分かり辛くなると思ったからです。典道の初恋、そして終わりを描く話として終わるのでなずなは謎の女として意味が分からない存在として曖昧に幕が閉じるのは致し方ないかなと。今作が中学生の逃避行である以上、典道はなずなを駆け落ちの時間を少しづつ伸ばす以外どうする事もできませんし、なずなも逃げても仕方ないのはわかってると悟ってるので、なずなが「また会えるのはいつかな?」と両想いになったわけでもなくまた会いたいと感じさせる最後の別れを言うのはそんなもんなんだろうなと感じました。むしろ典道がなずなに一方的に好かれる形だと気持ち悪いですし、典道が一方的に彼女になってくれと格好つけるのも違和感あるので曖昧なまま終わるのは自然でしょうね。恋愛映画として期待して見た人はとても肩透かしを食らったと思います。

 

なずなの出番が逃避行に入るまで意外と少なく、典道の日常を描くシーンに尺が割かれているので驚きました。ヒロインの魅力を押し出す映画だと思ったら、実際の所は男子中学生の日常を強調した映画だったのです。女子がいない男子だけのグループ、自分の家に友達が入って来てゲームをする風景、男だけで夏祭りに行くあの楽しそうな感じ・・・少年時代に戻りたい男にとっては懐かしいシーンがいくつもちりばめられていて、胸が熱くなりました。美人でおっぱいが大きい先生や、おっぱいが大きい女子生徒がスポーツをしておっぱいが揺れる所に反応する所なんかはエロい事しか考えてない男子のイメージとして最高です。ただ典道となずなの母が若くて美人で姉にしか見えないのはどうかとは思いますが・・・

 

本作の花火は世界が歪んでいるという事を強調するために現実ではありえない花火を見せているというのは分かりますが、毎年花火大会を観てる者としては到底満足できない映像だったはとても残念でした。全体的に映像がボケて見えるのと、背景や乗り物にCGが多様されてチープに感じます。

 

声優に人気の俳優、女優を使って脇は人気の声優で固めてるのは露骨に女性ウケを狙っているキャスティングですが思ったより典道となずなの違和感はなかったです。「良い」とは言えませんが・・・典道の同級生が全員男性声優だったのは良かったと思った部分でした。女性声優の少年の演技は苦手なものが多いので・・・典道の母親役が根谷美智子さんだったのもファンとしてはとても嬉しい所だったのですが出番があまりにも少なすぎたのが残念です。

 

恋愛映画として宣伝しキャスティングは女性に好まれるようなものですが、実際の所は少年時代に戻りたい拗らせた男に向けた内容としか思えず、ファンタジー要素やヒロインが意味不明でオチは投げっぱなしなので万人ウケはしないような作りなので酷評されるのも分かります。ヒロインはエッチで隣にいる男の子は身長が低くて可愛くないと嫌、男の子の性格や仕草が可愛くないと嫌といういわゆるおねショタを拗らせた層に向けたアニメというは滅多にないので個人的には好きな映画でした。設定は同年代ですが。